この記事では、定年後の収入と年金について、とても大切なお話をさせていただきたいと思います。
ご存じかもしれませんが、年金受給は、すぐに始めるのがベストとは限りません。
人生100年時代。
定年退職後も元気に働きつづける方が増えていますね。
お仕事を通じて社会とつながり続けることは、とても素敵なこと。
でも、そうなると、年金受給の開始時期に迷うのではないでしょうか。
実は、年金受給のタイミングには、知っておくと得をする大切なポイントがあります。
「48万円の壁」という言葉を聞いたことはありますか?
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「48万円の壁」とは?
65歳以降の方が年金を受給しながら働く場合、月々の給与と年金の合計が48万円を超えると、超えた分の年金が調整(減額)されてしまいます。
具体的には、48万円を超えた分の半分が減額されるんです。
例えば:
- 月々の給与が45万円
- 年金が15万円
- 合計60万円(48万円を12万円超過)
- この場合、年金から6万円(12万円の半分)が減額されます
定年後の働き方と賢い年金戦略
では、どうすればかしこく年金を受け取れるのでしょうか?
じつは、年金には「繰り下げ受給」という制度があります。
受給開始年齢を遅らせることで、将来もらえる年金額を増やすことができるんです。
具体的には:
- 1ヶ月繰り下げるごとに0.7%増額
- 最大84ヶ月(7年)まで繰り下げ可能
- 最大で84%も増額になります!
整理すると、
- 年金をすぐに受給→減額により実質的な受給額が少なくなる
- 繰り下げる→将来の年金額が増える+現在の収入には影響なし
ということになります。
ですので、十分な給与収入がある間は、年金受給を繰り下げて、将来の年金額を増やすのも良いのではないでしょうか。
具体的な計算例も見てみましょう
山田さん(65歳)のケース:
- 月収:45万円
- 本来の年金額:15万円
<すぐに受給した場合>
- 合計収入:54万円(48万円を6万円超過)
- 年金減額:3万円
- 実質手取り:57万円
<5年繰り下げた場合>
- 70歳までの月収:45万円
- 70歳からの年金:20.1万円(15万円×1.42)
- 70歳以降の手取り:65.1万円
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注意点:この方法が向いている人、向いていない人
以下のような方に特におすすめです:
- 安定した収入がある
- 健康状態が良好
- 長生きの傾向がある家系
一方、以下の場合は慎重な検討が必要です:
- 収入が不安定
- 持病がある
- すぐに年金が必要な状況
まとめ:あなたに合った選択を
年金受給の開始時期は、一人ひとりの状況によって最適な選択が異なります。
この記事でご紹介した「48万円の壁」を考慮した受給戦略は、あくまでも選択肢の一つです。
ご自身の状況に合わせて、以下の点を考慮してください:
- 現在の収入状況
- 健康状態
- 家族構成
- 将来の生活設計
また、年金制度は将来改正される可能性もありますので、定期的に最新情報をチェックすることをお勧めします。
分からないことがありましたら、年金事務所や専門家への相談もご検討くださいね。
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※本記事の内容は2024年1月時点のものです。最新の情報は各機関のウェブサイトでご確認ください。
参考情報
日本年金機構「在職老齢年金について」 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/zaishoku/20150401.html
厚生労働省「年金受給の繰下げについて」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kurisage.html